
微量PCB検出変圧器の取り扱い・管理のご案内
平成25年4月1日更新
「高濃度PCB使用変圧器」と「微量PCB混入変圧器」について
PCB含有変圧器には、意図的にPCBが使用された変圧器(以下「高濃度PCB使用変圧器」という)と、非意図的にPCBに汚染されてしまった変圧器(以下「微量PCB混入変圧器」という)があります。
- 「高濃度PCB使用変圧器」のPCB濃度は、60%(600000mg/kg)と非常に高濃度となっています。
弊社では、1958年(昭和33年)~1972年(昭和47年)の間に約100台程度を製造しました。なお、1973年(昭和48年)以降製造の変圧器に高濃度PCBが含まれることはありません。高濃度PCB使用国内向変圧器に貼付してある変圧器銘板には「不燃油または不燃性油」の日本語表記があります。
- 「微量PCB混入変圧器」のPCB濃度は、数mg/kgから数十mg/kg程度が多く検出されており低濃度となっています。
非意図的ではあるが結果として低濃度のPCBに汚染された絶縁油を使用した期間に、当社が製造した変圧器については、低濃度のPCBに汚染されている可能性を完全に否定できないため、当該変圧器から絶縁油を採油いただき、分析機関においてPCBの有無を確認いただく必要があります。型式・製造番号等で「微量PCB混入変圧器」を特定することはできません。弊社では1990年(平成2年)6月以降の出荷変圧器につきましては、出荷時点ではPCBの混入の可能性は無いと判断しています。
- 高濃度のPCBが含まれている廃棄物を「高濃度PCB廃棄物」、低濃度のPCBが含まれている廃棄物を「微量PCB汚染廃電気機器等」と呼ばれています。いずれのPCB廃棄物も廃棄物処理法及びPCB特別措置法の適用を受けるこことなります。
- 絶縁油中のPCB濃度分析結果、PCB濃度0.5mg/kg以下が検出された機器は「PCB含有電気工作物」・「微量PCB汚染廃電気機器等」には該当しないとされています。(関連法規 *3・*5)
以下に、弊社製変圧器をご使用のお客様における留意事項等をお知らせします。なお本章では主に「微量PCB混入変圧器」についてお知らせします。「高濃度PCB使用変圧器」に係る情報は、日本環境安全事業株式会社(以下JESCOという)のホームページ等を参照ください。
微量PCBの混入が確認された場合及び微量PCB混入の可能性のある弊社製変圧器の取り扱いについて
1. 使用中の変圧器の取り扱いについて
- 現在使用中の変圧器は、引き続きそのまま使用することが可能です。
- 使用中の変圧器が「微量PCB混入変圧器」に該当する場合は、電気事業法に基づく電気関係報告規則:「PCBを含有する絶縁油を使用する電気工作物の使用及び廃止の状況の把握ならびに適正な管理に関する標準実施要領(内規)平成24年9月19日改正」に基づき、遅滞なく設置している場所を所轄する産業保安監督部長(当該電気工作物が原子力発電所に属するものである場合には、経済産業大臣及び原子力規制委員会)に届け出いただくとともに、漏油等の不具合が発生しないよう、引き続き日常点検等を実施ください。また、微量PCB混入が確認された変圧器を電路から取り外した場合には、新たに使用することは禁止されております。
2. 保管について
- 微量PCBの混入が確認された変圧器を電路から取り外し保管する場合は、下記により適正な処置を行ってください。
- なお、微量PCB混入の可能性を否定できない変圧器で、PCBの混入の有無が確認できていない変圧器も、同様な取り扱いを行うことが適切です。
〔「廃棄物処理法;第12条の2第2項」、「廃棄物処理法施行規則;第8条の13、第8条 第2項」、「PCB使用機器の取扱いについて(平成12年7月通産省機械情報産業局電気機器課)」〕 - 具体的保管に当たっては、「廃棄物処理法(関連法規*1)」及び「PCB特別措置法(関連法規*2)」ならびに「微量PCB汚染廃電気機器等収集・運搬ガイドライン(平成23年8月改訂)」に従った方法のほか、次の注意事項に沿った取り扱いを行ってください。なお、高濃度PCB使用変圧器は「PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン(平成23年8月改訂)」に従って取り扱うこととなります。
1)識別表示
- 次の表示を行って一般の機器と区別してください。
- 微量PCBの混入が確認された変圧器であることの表示(又は可能性のある変圧器であることの表示)
- 数量(個数、質量、容量、等)
- 管理責任者の表示(氏名、連絡先等)
- 保管を開始した年度
- 処理完了期限(平成39年3月31日までに処理することを表示)
- 機器の問い合わせ先(下記「お客様対応窓口」を記載)
- 「廃棄物処理法」「電気事業法」いずれかの法的手続きの処理を行ったことの表示
2)機器の隔離
- 対象となる変圧器は一般の処理とは区別し、当該変圧器中の絶縁油が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、ならびに悪臭が発散しないように隔離して保管する。また、管理責任者及び管理者以外の方が容易に当該変圧器に近寄れないように仕切り等を設けるなど留意ください。
3)漏洩防止の措置
- 保管中の変圧器にあっては、腐食しているもの及び腐食の恐れがあるものは、密封した容器への収納、浸透し難い材質で製作された堅固な容器に収納するなど、漏洩事故等の未然防止措置を行う。また、地震発生時の転倒防止措置にも留意ください。
4)点検
- 保管中の変圧器は定期的に点検を行い、漏洩等による汚染や紛失等の未然防止に努めていただき、適切な点検記録管理を継続していただくとともに、廃棄処理が完了するまでの間適正な保管・管理に留意ください。
5)処分
- PCB廃棄物の処理を行う場合は、法的に認められた処理技術・処理施設に処分ください。
なお、PCB廃棄物の処分先は「高濃度PCB使用変圧器」と「微量PCB混入変圧器」とは異なります。
- 「高濃度PCB使用変圧器」は、JESCOの5事業所にて処理されています。
* 詳しくはJESCOのホームページを参照ください。 - 「微量PCB混入変圧器」は、都道府県及び政令市の長による許可施設・環境大臣による無害化処理認定施設にて処理されています。それぞれの施設毎に処理対象品目などが異なります。
* 具体的処理施設及び施設毎の処理対象物等は、環境省ホームページ「PCB廃棄物-廃棄物処理法に基づく無害化処理施設について」を参照ください。
* なお、焼却による処分は、環境省ホームページ「PCB廃棄物-PCB廃棄物に関する各種ガイドラインについて-低濃度PCB廃棄物の処理に関するガイドライン-焼却処理編-(平成25年2月改訂)」を参照ください。
- 「高濃度PCB使用変圧器」は、JESCOの5事業所にて処理されています。
6)その他
- 変圧器に使用されている絶縁油は、消防法に定める危険物分類「第4類第3石油類 指定数量 2000㍑」に該当しますので、保管に当たっては、消防法を遵守ください。
- PCB廃棄物等の保管等に係る具体的取り扱いは、保管場所を所管する各自治体でも保管事業者向けにホームページ・各種ガイドブック等で詳細な情報が開示されていますので参考としてください。
3. メンテナンス(油交換、注油等の油取り扱い作業上の注意)について
1)「微量PCBの混入が確認された弊社製変圧器」のメンテナンスを行う際の当該変圧器に使用されている電気絶縁油等の取り扱いは下記に留意し適切な処理を行ってください。
- 油交換作業により抜き取った油は、密封した容器に入れて上記「2. 保管について」に準じて適正に保管ください。なお、その際使用した保管容器等も新たに発生した「微量PCB汚染物」に該当するため、届け出等の措置が必要となります。
- 新たに補充した油につきましては、使用量、油のメーカ、規格、注油した作業日等を記録・管理の必要があります。なお、新たに補充する油は、油メーカから事前にPCB不含を証明する書面を入手する必要があります。
- 油の抜き取り作業に使用した器具、ウエス、ゴム手袋及保護具等も「2. 保管について」に準じて適正に保管ください。なお、調査のために抜き取った油がある場合は、上記①と同様に取り扱うことが適切です。
2)上記「3.1)」以外の弊社製変圧器(微量PCBの混入がないことが確認された変圧器)の場合
- 油交換作業により抜き取った油は、産業廃棄物として処理することが可能です。
- 新たに補充する油は、油メーカから事前にPCB不含を証明する書面を入手する必要があります。
3)上記「3.1)・2」以外の弊社製変圧器(微量PCBの混入がないことが確認できていない変圧器)の場合
- 油交換作業に着手する前に、当該変圧器から絶縁油を採油され、分析機関においてPCBの有無を確認していただく必要があります。
- 絶縁油のPCB分析結果、微量PCBの混入(0.5mg/kg超)が確認された場合は、上記「3.1)」による取り扱いとなります。
- 絶縁油のPCB分析結果、微量PCBの混入(0.5mg/kg以下)が無かった場合は、上記「3.2)」による取り扱いとなります。
関連法規について
現在使用中及び使用を中止した弊社製変圧器は、取り扱いにより法の適用(規制)が異なりますので、関連する法に従った取り扱いをお願いいたします。
- 微量PCB混入が確認された場合には、法(*2・*3)に従った届け出が必要となります。
現在使用中の変圧器は継続使用が可能ですが、一旦電路から取り外された場合には、新たに電路への接続は出来ません(*4)。
なお、廃棄時には法(*1・*2)に従った処理が必要です。 - 微量PCB混入が確認されなかった場合(PCB検出濃度0.5mg/kg以下)は、法(*2)の適用は受けず、廃棄時も産業廃棄物として処理可能です。
- 微量PCB混入の可能性を完全には否定できないとされる変圧器につきましては、PCBが含有していないことが確認されるまでの間は、PCB廃棄物と同様に適正な処置が必要です。
- *1 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(平成24年8月1日改正)
- *2 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)」(平成23年8月30日改正)
- *3 「電気関係報告規則」第2条の表6号・第4条15号の2同表第16号及び同表第17号の2・第4条の表第19号(平成24年9月14日改正)
- *4 電気設備に関する技術基準を定める省令」 第1章総則第4節(公害等の防止)第19条11(平成24年9月14日改正)
- *5 環境省通達「重電機器等から微量のPCBが検出された事案について」 環廃産発040217005 公布日:平成16年2月17日